赤ちゃんはママを選んで生まれてくるの?
“赤ちゃんはママを選んで生まれてくるんだよ”
この言葉、よく聞きます。
元々はある有名な産科医の著書から広まったようです。
初めてこの言葉を聞いた時、まだ妊娠なんて考えてもない若い頃でしたが、それでも
「なんじゃそりゃ!?!?」と思いました。
なんだか少し、ショックでした。
「不妊の人は赤ちゃんに選ばれなかったってこと?」
「だったら我が子を虐待して殺すような親はどうなるの?」
それからかなりの時間が経ち、30代になった今、
「そういう考え方もあるかもね」とは思います。
いいんです。
世の中いろんな考え方の人がいるし、自分が母親になった時
「この子は私を選んで生まれてきてくれたんだなぁ」って、
すごく素敵だと思います。
実際には命の誕生なんて生殖行動の結果で、精子と卵子が受精して赤ちゃんは生まれます。
どの赤ちゃんが、どんな風に、誰の元に、生まれてくるかに意味なんてなくて、
誰にも、選ぶことも決めることもできない。
テレビゲームじゃあるまいし。
だからこそやっかいで、だからこそとても尊い。
私はそう思っています。
我が子を胸に抱いた瞬間にこの言葉を噛みしめるお母さんを否定する気持ちは、
これっぽっちもありません。
ただちょっと疑問を感じるのは、この言葉を広めた産科医について。
それに共感して、この本を待合室や病棟に置く医療者たちにも。
あなたたちがそう言うの・・・?
長いキャリアの中で、不妊症や、赤ちゃんを失った痛みに苦しむ患者さんには出会わなかったのでしょうか?
きっと、絶対、出会っているはず。
医療者の言葉は患者さんにとって重大です。
“赤ちゃんに選ばれなかった女性” にとっても、あなたは「先生」「助産師さん」「看護師さん」なんですよ・・って伝えたい。。。